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telealias

 ニワトリだって空を飛べる。

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2010-03-04(Thu)

言葉のいづるは

 以前に、breakfastを「断食を破る最初の食事」と説明する方がいたので、breakfastには最初という意味は含まれないということを言ったら、「事実上最初なのだから、間違いではない」と返されたことがある。
 間違いではない、というような内容は積極的には人に伝えるべきではないと考えているが、しかし個人の考えレベルでは論理的な説得力に欠けるので、それ以上はなにも言わなかった。

 そんなことをふと思い出して考えてみたが。

・breakfastは断食を破る、の意
・かつて宵の断食という習慣があり、それを破って摂食することから、こう呼ばれるという説
・字義的には一日の最初の食事を表す

 ということは、遅い朝食は、breakfastだということになると思われるのだけど、さて、その前にdinnerとsupperの違いに触れておく。
 これまたbreakfastと同じくらいには有名だとは思うけど、dinnerは豪勢な食事、晩餐、supperは簡素な夕食、というのが辞書的な意味だそうだ。が、これは正確ではない。
 dinnerというのは、一日で一番重要な食事を指す。だから、晩餐は正確ではない。昼でも朝でもかまわないからだ。事実、かつては昼によく食べ、夜は軽く済ませるという習慣があった。
 さて、社交界では、夜も活動時間になるから、軽い夕食では夜が更ける頃には空腹を覚えるのではないか。と思ったら、やはり夜食を摂ることもあったようだ。
 これを卑しい、慎まれるべきだと律したのが教会だ。節制をもって身を清めるを尊し、であり、夜食は暴食の類として禁じていた。fastはfasten(しっかりする)に通じている。断食は節制のためだったわけだ。
 さて、昼のdinnerに戻ってみる。
 なぜ昼によく食べる必要があったのだろう。
 夕には軽く、夜は食べない。もし朝起きて軽食を摂るなら、昼はそれなりの食事でも構わないと考えられる。
 逆に朝を摂らなければ?
 なるほど、昼は自然とよく食べることになる。推測ながら、つじつまは合う。
 で、推測どおり、かつては朝を抜いて昼と夕の二食という習慣があった。これは教会の教えによるもので、労働にはげむものたちは、働くべくして朝に軽い食事を摂った。らしい。時代によってもこの習慣はまちまちだろうけど、さもありなん。
 では、教会の一日最初の食事は、breakfastだろうか。
 わざわざ破るというくらいだから、毎日の習慣についてこう呼ぶのは変だなぁと思うのは、ぼくだけだろうか。
 禁を破るとは、恐ろしい言葉だと思う。教会で聖職に就くものが、自らに、破るなんて語彙を使うだろうか。逆で、正当性を守るために、より自然な行為だと示さなければ、民は神に仕えるものとして納得しないかもしれない。
 昼は正餐であり、これを摂ることは当たり前のことである、と。
 断食を破る、というのは、この正餐より前に食事を摂ることじゃなかろうか。断食というのは、食べてはいけない期間を示すものだと考える。何時から何時までと決まっている。
 当たり前のように朝食を摂るなら、それはもう断食の期間を過ぎているのではないか。
 まぁbreakにそれほどの強い意味があるかどうかは知らないのだけど、正餐より前の労働前に摂る、規律外の軽食、くらいが、原義かと思う。
 正餐を摂ることはbreakfastではない。

 ところで、この食生活と文化について、異世界ながら、中世~中近世を舞台にしていると思われる「狼と香辛料」では、丁寧に描写されている。それができるくらいには考察が行われていることが察せられる(またかと言うなかれ。この作品は本当によく書かれているのだ)。

 ま、気になったので調べたよ、という話。

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